吉田豪さんの『サブカルスーパースター鬱伝』という本を読みました。
この本はプロインタビュアーの吉田豪が「サブカルの人は40歳あたりで鬱になる」という仮説のもと、鬱を経験した過去のあるサブカル界隈の人間にインタービューしているインタビュー集です。
サブカルスーパースター鬱伝
『サブカルスーパースター鬱伝』では、名だたるサブカル畑のスターたちの内面が明かされています。インタビュアーは吉田豪、そしてそのインタビューを受けるのは10人の鬱経験者プラス1名の精神科医。
リリー・フランキー
大槻ケンヂ
川勝正幸
杉作J太郎
菊地成孔
みうらじゅん
ECD
松尾スズキ
枡野浩一
唐沢俊一
香山リカ
テレビで見かける人もいるし、普通に明るく見えるけれどこの人も鬱だったのか、、、という驚きのメンツですね。彼らに吉田豪が「サブカル男は40歳あたりで鬱になるって本当のことですか?」という疑問をぶつけています。
ちなみにこの本は2012年刊行され、2014年に文庫版も出ているようです。文庫版では、最近鬱告白したユースケ・サンタマリアのインタビューが追加されています。
いやー本って後に出る文庫版の方が内容充実するんですよねーあとがきが追加されたりだとか。なんだかなーって感じです。逆に装丁が良い普通の本の方を後で愛蔵版みたいな形で出して内容充実させてくれよと、、、読みたいけどそれだけ読むために買おうとも思わないしなー
そもそもサブカルって最近聞かなくない?
さて、サブカルなんて言葉はもう2019年ともなるとあまり聞こえてこないですよね。
そもそもサブカルってなんでしょうか?
ぼくのあいまいなイメージとしては、メインカルチャーに対してメインにならないけれども文化的に価値というか面白みはまあまあある、みたいな感じのものを愛でる趣味という感じです。歴史の浅い少数派の趣味の総称という感じかな?
で、これがなんで最近聞かなくなってきたのかというのは、ネットが一般化して少数派の趣味もネット上で連帯できるようになったからかなと思います。
もはや全員がサブカルというか、日陰なものでも好きなものは好きと堂々言える状態がネット上に作られました。ネット上に仲間がいて少数派でも好きな人がたくさんいるとわかったわけで。
まあそういう流れが定着したことによってサブカルという存在が薄まっていっているんじゃないかと思います。この趣味の流れは数年前にはタコツボ化とか言われていて、それがサブカルを飲み込んでいったような気がします。
さて、ここで一応この本の帯に書いてあったサブカルの正しい意味を、
サブカルチャー【subculture】正統的・支配的な文化ではなく、その社会内で価値基準を異にする一部の集団を担い手とする文化。下位文化。
岩波書店「広辞苑 第四版」より
うーん小難しくてよくわかりませんが、下位文化というのが結構パワーワードですね。サブカルとは下位文化ということらしいです。
サブカル40歳が鬱になる?40歳だから鬱になる?
ぼくはサブカルについては詳しくないんですけど、それでも知っているような名だたる人がこの『サブカルスーパースター鬱伝』に出てきて鬱告白しています。リリー・フランキー、大槻ケンヂ、みうらじゅん、、なんというか、『タモリ倶楽部』を見ていると出ているような人たちですね。
彼らはみんな40歳あたりで鬱を経験しているようですが、この本を読んだところ、サブカル40歳だから鬱になるのか、単に40歳だから鬱になるのかというのは曖昧な感じで。
彼ら鬱経験者のインタビューを読んでいるとぼくはサブカルだからというよりは年齢的な問題なのだろうなと思えてきました。
40歳あたりはいわゆる厄年であって、昔から「まあ40歳くらいになると人生いろいろ転機みたいなことも起こるよね」みたいなことは言われているわけです。つまりサブカルでなくとも人は40歳くらいになると人生いろいろあって思い詰めることもある、という状況がまずあります。
この本でも再三語られることですが、40歳ともなると、がむしゃらに仕事をやっていくということは体力的に辛くなってきます。寝ないで仕事だったり、仕事も遊びもという体力はなくなってきます。
そして人生は半分が過ぎたわけで、人生の終点が見えてきたりして。今まで若いときにできた無茶ができなくなってくる現状を受けて自分の老いを考える、そしてそのあたりの年齢で訪れる親の病気や死などから人生の終点がこれまでよりも一段とリアルに見えてくる、そんな歳が40代であり、そんなときに人は鬱になるよねと言われたら、そりゃまあそうだろと。
吉田豪さんはインタビューでほとんどの人に「体力が衰えてきたからですかね?」と質問していましたが、ほとんどの人が肯定していました。
やはり年齢による体力の衰え、体力の衰えから精神も弱ってくるようで、それが鬱の原因の一つのようでしたね。
で、ホントにそうだとしたら体を鍛えれば治るわけで。実際に「鬱は陽の光を浴びて体を動かせば良くなる」という話もあります。
だた、そこと反するのがサブカルの世界(体育会系に対する文化系)ということでもあるので、まあ「サブカル40歳が鬱になる」とは言わないまでも鬱になりやすいとは言えるのでしょうね。
ものごとを考えすぎる人に
というわけで『サブカルスーパースター鬱伝』を読んできたわけですが、ぼくは鬱経験もないしまだ30代なのですが、かなり興味深く読めました。
サブカル、文化系、要するに考え過ぎ系、モテない自意識過剰系ですかね、ぼくはそのあたりに分類される人間だと思うんですが、刺さるところも多かったです。
加えて、年齢的に自分よりちょっと先を歩いている人の経験談というのはやはり面白いものです。生きてきた時代が違うので若い頃のやんちゃ話がスケールが違ったりして面白かったり。
ものごとを考えぎる人や30代男性にはおすすめ本です!
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