えらいてんちょう(矢内東紀)さんの『「NHKから国民を守る党」の研究』を読みました。
この本、ネットで1日限定で全文無料公開されていたんですね。ちょっと興味があったのでこの機会に読んでみました。
1日限定で時間がなかったので飛ばし飛ばしで読んでしまったのですが、N国については大手メディアでは取り扱わなくなった今、詳しくまとめられた良い本だと思いました。
ぼくがN国党について思っていること
ぼくがN国党党首の立花孝志を知ったのは2019年の参院選のときでした。「NHKをぶっ壊す!」の合言葉とともにあの政見放送をしたときですね。
顔だけはyoutubeで知っていました。トップページに出てきていて、「こんなおっさんもyoutuberになる時代なのか、、」と思ったことを覚えています。それが政見放送で見て顔と名前が一致した感じです。
それより前にニコ生主の横山緑がN国党で出馬して立川市議選に当選したことは知っていて、「あのヤバそうな党の党首か、、」って感じでした。
横山緑(久保田学)のことはニコ生を見て知っていたので、この人が当選するって何かの間違いだろうと思っていて、その党の党首ってどんな人なんだよってのが最初の興味です。
この本で著者も指摘しているけど、都知事選に必ず出馬するマック赤坂みたいなおもしろおじさん枠といった感じで見ていたら参院選当選。これは驚きでした。
その後に選挙戦略が優れているとメンタリストのダイゴが称賛していたりして、ダイゴの解説を聞くと確かに立ち回りがうまくて、頭の良い人なのだなと興味が強くなりました。
久保田学がそうだけど、人気がある配信者は一定数票を集めるため、力のある配信者を囲って勢力を拡大する手法が新しくてすごいなと思っていました。政治的信条がない人でも人気さえあれば通ってしまうんだと。
言われてみれば元アナウンサーとか元アイドルとかも政党が擁立すれば議員になれるわけで、認知度があれば当選できるのはなにも新しいことでもないのだけど、配信者が当選してしまうのはどこか現実味がない気がしていました。
一方で「NHKをぶっ壊す」のワンイシューが潔すぎて気持ちよかったので好感もありました。NHKに勤めていたけど辞めて戦うなどのストーリーも共感できました。
戦略も面白かったし、国会をかき回す存在になったらおもしろそうだななどと思っていました。
ただ、マツコデラックスの件とか大橋昌信柏市議会議員が恫喝している動画などを見てさすがにちょっとダメだろうと思っていて、そんな時にこの本の筆者のyoutube動画に出会いました。
著者は『しょぼい起業で生きていく』って本だけで知っていたので、youtubeでいかにもyoutuberっぽく煽り気味でN国を批判していたのに驚きました。
でも、もっともな批判をしていたので彼が書くというこの本には興味があったんです。
立花孝志は元々はまともだった
『「NHKから国民を守る党」の研究』では立花孝志についてかなり詳しく書かれています。
立花孝志はyoutubeに動画を上げ始める前に2ちゃんねるに書き込みをしていたようです。
そのころの立花は意外とまともに思われました。こんな書き込みをしていたようです。
「公共放送は必要です。公共放送がなくなれば国民には、民間放送や国営放送というお金持ちや権力者からの情報しか入ってこず、気が付いたら憲法が『改悪』されてします。我々そして我々の子孫が再び戦場に行かなければならない危険性があります」(原文ママ)
今後のNHKについて私なりの考え…NHKを『株式会社』と『公共放送』の2組織に分割する。……公共放送の財源は受信料とする。しかしこれまでの世帯ごとではなく1台につき1契約とする。月額100~300円が理想。未契約テレビにはスクランブルをかける。しかしニュースや緊急放送はスクランブルをかけない
「NHKから国民を守る党」の研究 えらいてんちょう(矢内東紀)
国民にとっては理想的なNHKのあり方を提唱していると思いました。
変わっていった立花孝志
この本では、当初「NHKを変えたい」という純粋な気持ちがあったように思える立花孝志が変わっていった様が時系列でわかりやすく書かれています。
それは人が変わっていく仕組みがそのまま現れているようで、とても興味深かったです。お金を得ると人は変わるってよく言うけど、それそのままって感じがしました。
youtubeで成功したことが立花孝志にとって大きかったようで。お金を稼ぎ、多くの承認を得るようになって「NHKを変えたい」純粋な気持ちは薄まっていったのだろうなと思います。
自分が満たされているのでもうどうでも良くなったのかもしれませんね。これまでNHKを変えるために戦略を使っていたのが、今は得た金や権力を維持するために使われているように思われました。
ワンイシューで出てきたときの立花孝志は「目的のためには手段を選ばない人」で芯が通っていると思っていました。その時はまだ良かったと思います。後に手段選ばなすぎてマツコ問題くらいからヤバかったですけど。
今は変わってしまって、目的すらも曖昧になってしまった風に見えます。そうすると政治信条もないビジネスの人って感じに見えてきます。
さいごに*「N国党のようなもの」の怖さ
立花孝志はネットの炎上商法で国政政党の党首まで上り詰めました。「ネットに昔からある炎上商法やってるだけじゃん、ダサい」って切り捨てているコメンテーターもいたりしましたが、でもそれで国政まで来れた、来てしまったのは怖いです。
新たなN国党のような存在が出てくる可能性があると著者は懸念していて、確かにその通りだと思いました。これが一番怖いこと。N国の手法を叩き台に、もっとうまくやる悪意ある団体が出て来ないとも限らない。
テレビを見ない、そもそもテレビがない人は増えているし、若い人ほどそうだろうし、そんな人はネットを見ている。そこへきてyoutubeの情報量の多さはプロパガンダに使われると本当に怖いものだなと思います。
情報に流されずに自分でしっかり考えられる知性がないといけないですね。
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