ネットでバズっていた漫画が面白かったです。
『にくをはぐ』。少年ジャンプ+で無料で読めます→にくをはぐ
youtuber漫画か?と思いきや、、
ぼくはネットでバズっているのをみてタイトル以外の前情報なしで読みました。無料だし読み切りだったのでなんの気になしに。
ライブ配信中のシーンから始まり、「おおyoutuberが漫画になる時代かー」と思い、今っぽい感じの掴みで一気の興味が湧きました。
「野生動物の肉を捌く、ジビエ食う、ナイスバデー女子」ってことでyoutuberとして魅力的すぎる、いろんなyoutuberいるけどこりゃ人気出るわと。
そしたらyoutuberってのはただのつかみでしかなく、トランスジェンダーの物語だったんですね。まんまと引っ掛かったというか、この作りはよく考えられていますね。
最初からトランスジェンダー漫画だと言われると、自分に理解がないし周りにそういう人もいない(気がつかないだけかもだけど、そもそも周りに人がいない)のでぼくは多分読まなかっただろうと思います。
ぼくは野球漫画とか少女漫画とか興味がないので読まないジャンルはたくさんありますが、そんな感じでトランスジェンダー漫画なら読まなくていいかってなってたと思います。
パッっと見だとどんな漫画なのかよくわからないサムネイル画像にシンプルなタイトル、無料、の上に「2019年っぽい掴み」だったから読んだんですよね。
思い込みに縛られる
『にくをはぐ』は、父との関係に悩むトランスジェンダーの主人公・千秋のお話です。
千秋の一人親である父は千秋を結婚させたがります。女性の幸せは結婚して家庭を持つことだと信じて疑わない。その上それは先に逝った妻の遺言でもあるわけです。
これって、言葉はきついかもしれないけど、千秋にとっては呪いの言葉だと思うんですね。
父が「一人娘には幸せになって欲しい」と思う。ここまでは良いんですけど、しあわせの形は人それぞれであって答えは決まっていないってことがわかっていないんです。
父がこう考えてしまうのは時代によるものが強いような気がしますね。なのでしょうがないとも言える。
人種差別がいまだになくならないにしろ何十年もかけて緩やかに改善されているように、もう10年くらい経てば生き方に対する考え方も変わっていくはずですが、父はこれまで生きてきたウン10年で考え方が凝り固まってしまっている。
父はその父を見ているわけで、時代的に、より家族や社会に縛られた生き方をしていただろうし。
その上、遺言です。もう変化することのない人間の言葉。重い。これは尊重するしかない。こんな連綿とした積み重ねが思い込みを生んでいくのだろうなと思います。
そんな呪いにも似た思い込みをどうやって変えるか、これはいろんなエンタメでも語られる普遍的なテーマだと思います。
『にくをはぐ』では千秋が自分の気持ち貫いたことで変えていきます。正面突破です。いかにも少年ジャンプらしい清々しさがありました。
普遍的な漫画
『にくをはぐ』は少年漫画だし読み切りなので、ハッピーエンドでスッキリとまとまっています。
「現実はそんなにうまくいかないよ」とも思ったんですが、こういう漫画を読んで現実を考えるのが大事なので、読んで良かったなと思いました。
無料クオリティーではないですね。普遍的な素晴らしい漫画だと思いました!
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