最近映画が見れないんですよ。
「ああここから2時間集中しなきゃいけないんだ」というだるさが「面白いものが見たい」という好奇心に勝ってしまうんですよね。歳とったからかな、、
先日テレビで『天空の城ラピュタ』がやっていました。
何度も見ているので見るつもりはなかったのですが、なんとなくチャンネルを合わせると懐かしのシーン。城でパズーがシータを飛行艇に乗ってキャッチするところ。
「これ普通に事故じゃん、そして2人の運動神経どうなってんだよ」とか思ったりしながらなんとなく見はじめてしまいました。
するとやっぱり面白い。思い出のシーンだらけ、キタキタコレコレ、内容を知っているので集中せずに見れる。ツイッター見ながらでも見れる。
というわけで途中からですがラピュタを最後まで見てしまいました。
んで相変わらずジブリ映画はすごいなと、この流れ(自分の好奇心の盛り上がり)で見れるかなと思ってハードディスクの容量を圧迫していたジブリ映画『思い出のマーニー』を見てみたわけです。
思い出のマーニー
それほど話題に上らなかった映画という印象の『思い出のマーニー』は2014年の映画で、イギリスの児童文学を映画化したもののようです。ジブリお得意の手法という感じがしますね。
ざっくりしたあらすじは、喘息持ちの自分が嫌いな主人公・杏奈が療養のために親兄弟の田舎に行って、そこで自分の過去を知る話という感じです。
12歳の少女が主人公、というわけで「30代のおっさんであるぼくが感情移入できるわけない!」かというとそうでもなくて、だからこそ『思い出のマーニー』は面白かったです。
自分のことが嫌いな少女の成長物語
杏奈は自分のことが嫌いです。早くに親を亡くして養子になり、育ての親を母親と認められず「おばさん」と呼んでいます。
身体は弱く、喘息持ち。人間関係に悩み、ストレスがかかると喘息が出てきてしまう。
そんな辛い境遇なので杏奈が「自分が嫌い」と思っていることはとても共感できます。もう生きていくのも嫌になっちゃう環境だよなと。それが思春期で12歳なんてなおさらで。
嫌いな性格はどう決まっているか
性格って、自分の身体性と境遇あたりで決まると思うんです。
元気が有り余っている身体だと心身ともに丈夫だから喧嘩っ早くなるし、そうでなければ大人しい性格になる、みたいな感じで。
体に何かしらのアレルギーがあるなら様々なことに注意深くならざるをえないけど、何にもない丈夫な体なら奔放に生きられるわけです。これは人格形成に大きく影響しますよね。当たり前すぎて忘れがちですが身体性ってめちゃくちゃ大きな要素です。
そこに親の教育なり、置かれる環境など相まって性格が形作られていくんだと思います。
というようなことは大人になってくるとなんとなくわかってきますよね。「性格なんて身体性と環境の問題から来てるんだからまあしょうがないよね」とか思える。
人生は配られたカードで勝負するしかないとある意味開き直れるわけです。そう考えないと生きていけないのが大人だったりしますが、、
だから大人は自分が好きか嫌いかなんてそんなに考えることでもないと思うんですけど、12歳で中学生で周りもみんな同い年で差があって、、という中では「なんで自分だけ」って大問題として捉えちゃうんですよね。
そんな杏奈の卑屈な気持ちがどう変わっていくのか、ここが映画のテーマになっています。
言ってしまえばコンプレックスを持つ少女が過去を知って勇気づけられたことによって成長するというありがちなストーリーではあります。が、ベタは正義です。共感できるし元気になれます。
そして、その成長のきっかけがこの物語の特許というのか個性なわけで、それが素晴らしかった。
現実よりのファンタジーなので、、
この映画は少しだけファンタジー要素があります。杏奈の成長ストーリーなので杏奈の心の中の部分だったり心と現実が混ざった冒険的なものがファンタジーです。
なので、ファンタジーと言われてイメージするような、剣と魔法の世界とか、現実にありえない生き物とかは出てきません。
なにせ、杏奈の心象風景なので、現実にちょっとありえなさを加えた程度です。
するとどうなるのかというと絵面が圧倒的に地味なんですよね。これがあまりヒットしなかった理由になっているんじゃないかなと思います。
主題歌がなー、、いや悪くないけど
ぼくは『ゲド戦記』は内容は良くないけど主題歌はめちゃくちゃいいと思っているんですが、『マーニー』は曲調は映画にとてもマッチしているんですが、ちょっとイマイチなんですよね。
いわば『ゲド戦記』の逆パターン。内容はいいのに曲が良くない。
あの英語の曲は劇伴としてはアリだけど主題歌としては弱いかなと。
やっぱり日本語で、どこか映画と連携するフレーズがメロディーとともに頭に残るような曲が主題歌としてあれば、もっと世の中に広く届いたのかなと思ったりもしました。
ジブリの映画って劇伴はもとより、主題歌として使われる曲がめちゃくちゃいいですよね。ジブリの名作って映画を思い浮かべた時に、映像とともに必ず主題歌のメロディや歌詞も聞こえてくるんです。
この内容で行くと内容は地味だけど残っている映画の『耳をすませば』なんかは名曲のカントリーロードを日本語訳にしていて馴染みやすくなっていたりします。あんな感じで他にもっと曲なかったかなと、、
(残っている映画というのは、テレビで何度も放送される=広く知れ渡ってる的な意味です)
これがちょっと勿体無い気がしました。とてもいい映画なのでもっと話題になれるはずだったんじゃないかなと。
ありふれた言葉の意味
というわけで『思い出のマーニー』は地味だけど王道を行くようなストーリーなので、全ての人にオススメな映画だと思います。最近映画が見れないぼくも最後まで集中してみれました。
物語の根幹、マーニーの秘密についてはとても納得のいくエンディングを迎えます。
『思い出のマーニー』のキャッチコピーである、「あなたのことが大すき」。ありふれた言葉ですがあえてこの言葉をキャッチコピーに持ってきた理由が十分にわかりました。
好きというありふれた言葉が、これほど伝わってくる映画もなかなかないと思います。難しいことは何もなく、自然に感動できる映画です。
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