<数年前に旧ブログに書いた記事です>
会社に厄介なおじさんがいる。普段の会話や電話口などで、なかなか会話が円滑にいかないおじさんだ。
単純に声が小さいのが原因で、聞き返しても声のボリュームは変えてくれなくて、かたくなに声を張ってくれない。こちらが耳を近づけなきゃならない。
と思っていたんだけど、実はこのおじさんと会話が円滑にいかない理由は他にもあって、そのほうが問題だなと気がついた。
最近このおじさんが電話で業務連絡をしている一部始終を目にした。僕とおじさんで車内という密室空間だったので、まあ、会話を聞くともなく聞いていた。
するとやはり、僕の時と同じだった。
電話口の相手は最初から何度も聞き返している。おじさんは声のボリュームは変えず、食い気味で伝えたい単語を連呼している。全く息があっていない。「ああ誰に対してもこの感じなんだな」と思った。
この時に何が問題かって、おじさんには主語がないのだ。だから何について電話してきたのか、受け手は一瞬理解できない。
急に電話がかかってきて話を切り出されているので、何についてどういうことを伝えようとしているのか、すぐにはわからないのだ。そもそも電話自体が急なコミュニケーションを要するものであるし。
主語がないので、受け手としてはおじさんが何の話をしているのか、理解するまでに5秒くらいかかる。このおじさんから電話、この単語、ああ、あのことか、という風に。
その5秒の間におじさんは小さなボリュームの声で業務連絡を連呼する。おじさんは自分の声が小さいということを知っているので、相手が自分の声を聞き取れていないと判断して連呼しているのだ。
ただ、おじさんの受け手は声が小さいから聞き取れていないのではない。受け手は、主語がないから何の話をしているかわからないからとりあえず「はい?」と聞き返しているのだ。「急になんの話?」という感じ。
聞き返すことによって、おじさんから違う情報を聞き出そうとしていたり、おじさんが何を言おうとしているのか慮ったりする時間を得ようとしているのだ。
おじさんは、ひどい時は最初の挨拶すらない。というか挨拶があるほうが珍しいくらいだ。
これは普段の会話でもそうだ。まあ、会話の切り出し方の問題である。まず何について話そうとしているのか明確にして欲しいし、十分に間をとってもう少しテンポ感を相手にも合わせて話して欲しいなと思う。
おじさんは投げたい球をただ投げているだけなのだ。会話のキャッチボールが成立しづらい。相手への想像力が乏しい人だ。
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