杉山実の『ガール・デバイス』という漫画を読んだ。
杉山実の漫画は他に『マザー・コスモス』がある。デビュー作だ。『ガール・デバイス』はそのデビュー作から5年半、満を辞して発表された第2作目である。
この作品も『マザー・コスモス』同様、表紙の絵に魅力がある。まず制服をきた女子高生に目がいく。女子高生がロボット化しているデザインがなかなか面白い。
よく見ると、この女子高生がレトロフューチャーなデザインのロボットたちと戦っている。指から出ているビームで何体ものロボットを爆破している。10体以上のロボットを一人で相手にしている彼女のサイズ感が半端ない。一体どういうことなのだろう。物語に興味がわく魅力的な表紙である。
ガール・デバイスあらすじ
ガールデバイスはSF作品である。2036年以降の世界が物語の舞台だ。
火星からはるばる母星の地球にやってきた主人公。初めて降り立った地球は、女子高生の形をした機械に支配されている世界だった。
本の帯にはSFスペクタクルラブストーリーとある。
女子高生に支配されている地球。
字面だけで見るとおっさん的には「なるほど楽園じゃないか」と思うんだけど、残念ながら『ガール・デバイス』はそういう話ではない。女子高生に支配されっぷりが半端なく、思いっきりグロテスクな世界観なのである。上の扉絵からそのグロさは伝わってくるだろう。
こんなものはなかなか読んだことがない。独特の世界観を放っている漫画ある。
映像で見たい
本の帯には『ガンダム THE ORIGIN』でお馴染みの安彦良和のメッセージが。
イメージの暴走、蒼い心のわななき、それが創作する。
まさに異能!映像で観たいナ
安彦良和氏が言うように、『ガール・デバイス』は映像で観たくなる作品である。巨大女子高生ロボットが動いている様は映像で観てみたいし、様変わりしてしまった地球も映像で観てみたい。
映像化に向けては極端な話、杉山実の絵でなくてもいい。
もちろん杉山実の絵、そしてデザインセンスが魅力な漫画ではあるのだが、「女子高生が地球を支配している」という設定が『ガール・デバイス』の根幹である。
なのでこの設定とロボットなどのデザインを残して、キャラクターは最近はやりの萌え絵とかにすればヒットすると思う。これはAmazonのレビューでも指摘されていた。
世界観のインパクトに比べて、物語は多少の物足りなさがある。読み手がイメージしやすくて共感しやすい物語ではあるので入っていけるが、詰めが甘いと感じる。それと、やはりこの漫画家は機械やロボットや不思議な生き物の絵は抜群だけど、普通の人物の絵がちょっと苦手なようだ。
物語と人物絵のディティールにもう少し凝ることができれば、正真正銘の名作になったと思う。
この辺の物語のディティールの修正と、一般に好まれそうな絵のタッチにすることで映像化はいけるんじゃないかと思う。というか是非とも映像で、動くガール・デバイスを観て見たい。
久しぶりに『マザー・コスモス』を読み返して、「杉山実の漫画はやっぱり面白いな」と思い他の作品も読みたくなった。そこでAmazonを検索して当たったのがこの『ガール・デバイス』だった。
漫画としてとても面白い上に、その先の可能性も感じさせる作品だった。
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