<2017年に書いたブログです>
たまに読み返したくなる漫画がある。もう10年ほど前の漫画だ。10年ほど前に本屋で見かけて、表紙を見て思わず買ってしまった漫画だ。いわゆるジャケ買いである。
これは杉山実の『マザーコスモス』という漫画だ。何度読み返して見ても不思議な魅力のある絵である。今見てみると僕のは初版で2005年11月25日発行とあった。というわけでもう12年も前の漫画なのだ。
SFファンタジー
帯には
今が古代と語られる遥か未来
わずかに生き残った人間たちが
有機ロボットと共に楽園を探し求める異端のSFファンタジー
とある。SFとファンタジーって別物って感じだけど、『マザーコスモス』はそう表現したくなる感じの世界観なのである。
SFに出てきそうなロボットだとか宇宙船だとか研究室だとかが出てくるが、デザインがどこかノスタルジックでありファンタジーっぽくもある。
SFとファンタジー、それぞれの定義
そもそも、SF(サイエンス・フィクション)とファンタジー、それぞれの定義はなんだろうか?検索してみるとyahoo知恵袋にそれぞれの定義がわかりやすく書いてあったので抜粋。
SFは、中に出てくる法則に理屈が存在する物語。
ファンタジーは、中に出てくる法則に理屈が存在しない物語。例えば、同じように「手から炎が出る呪文」を物語の中で使ったとして、SFは「手に持ったアイテムが、呪文(コマンド)によりスイッチを入れることで発動する」という説明が必要ですが、
ファンタジーには、その説明は必要ありません。「特定の呪文を唱えると手から炎が出る」という理屈だけ作品の中で統一されてれば問題ないのがファンタジー。
>>ファンタジーとSFの違いって何ですか?いまいち分からないんですが、… – Yahoo!知恵袋
なるほどわかりやすい。これでいうと一応動力などは理屈があるから『マザーコスモス』はSFに区分されると思われる。
絵がすごくいい
漫画のジャケ買いなんかしない僕が、思わずジャケ買いしてしまったくらいだ。『マザーコスモス』は絵がすごくいい。表紙からもう異彩を放っている。
杉山実の絵にはスクリーントーンを全く使わない、線で書く陰影の温かみがある。デザインも個性的だ。ロボットや宇宙船は、有機ロボットというだけあって機械のような生きているような独特な感じが魅力的だ。
特に素晴らしいのが各章の最初のページにある扉絵だ。銅版画というやつらしい。ここに詩のような言葉も添えられている。この絵と短い言葉のみで章の説明をしている。これに想像力を掻き立てられる。絵本のような感じだ。
ただし絵は上手いというわけではなくいわゆるヘタウマだと思う。世界観や出てくるロボットや宇宙船は魅力的なのだが、人物に魅力がない。表情があまりなくて生きている感じがしない。機械の人間も出てきたりするからそこがまた面白かったりはするのだけど。
杉山実氏はどちらかというと絵本を描いた方が魅力のある人かもしれないなと思う。
王道をゆく物語
物語は王道だ。訳あり主人公の男の子の冒険活劇である。帯裏のあらすじ↓
その町は何百年も前に滅びました。
新しいエネルギー期間の暴走によって住人は死滅したそうです。しかし街の防衛装置として作られたガーゴイルたちは今日もこの街を守り続けています。彼らは誰もいないこの街を永遠に侵略者から守り続けているのです。
主人公はひょんなことから世界を動かすきっかけに巻き込まれていく。まあありがちな感じである。
あらすじで言うと漫画版ナウシカとラピュタが混ざったような感じだ。さらにエヴァンゲリオンっぽいところもある。
「母性愛エンジン」という母親が子供を思う気持ちをエネルギーにした不思議な永久機関が出てくるが、これにエヴァを彷彿とさせるところがあったりする。
まあナウシカやラピュタも元ネタがあるだろうし、僕の知識ではそれらが連想されるというだけの話ではあるが。
おわり
『マザーコスモス』で一番言いたいのはやはり絵の魅力だ。他で見られないような独特な魅力ある。SFのようで一味違う有機的な機械たちのデザインが素晴らしい。
1冊完結で物語がぎゅっと凝縮されているところもいい。久々に読み返して見たのだがやっぱりいい漫画だなと思った。
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