<数年前に書いたブログの再掲です
少し加筆修正しています>
水木しげる氏が書いたという「国家」の風刺画がグッと来た。
一人一人の国民は人間なんだが、その集合体はもう妖怪なんだな。
まあ僕には国家という大きなものはわからないけど、企業という意味で置き換えて考えてみるととても共感した。一人一人は普通な気がするんだけど、それが組織になったとたんに怖くなる。さながら妖怪だ。
みんなが企業という組織に属して、その企業が長く続くこと、繁栄していくことを望んで活動しているわけだけど、組織を維持するためということで嘘をついたり仲間を出し抜いたり足の引っ張り合いをしたりして、組織の中の人間関係はぐちゃぐちゃになったりする。
どうしてこうなってしまうのか?利害関係があるからだろう。利害関係があるからこそ、嫉妬、恨みつらみなどが蔓延している。利害関係抜きにして出会っていたらなら、人として普通の関係を築けただろうにとはよく思う。
人は一人では生きていけないから組織を形成する。助け合って大きな利益を上げようとする。
その過程で参加した人々の色々感情が入ってくる。「俺の方が貢献した」「俺のアイディアがなかったらこうならなかった」とかそういう主張が混じり合って、その思いと対価とのバランスが取れていないと感じるからストレスが溜まっていき、周りに当たり散らすようになる。
それなりの対価をもらっていたとしても、人がついてこないと不満がたまるらしい。承認欲求のようなものが見なされないのだろう。
役員に出世した人望のない社員が、出世してからやたらと飲み会を開いていたことがあった。
飲み会といっても自宅に招く食事会だ。社員もバイトも含めて利害関係なのか、数人ピックアップされ、出世した社員のサクセスストーリーをこんこんと聞かされるらしい。
自宅、つまり家族もいる手前、くさして笑いにすることもできず、ただただ褒めちぎるしかない地獄の時間を過ごしたようだ。
その飲み会に行った人はもう全員会社をやめている。ただの怖い話だ。
まあピックアップされる人はいつも決まっていたから、自分の派閥を作りたかったのだろう。ただ、そういうことをしている時点でもうダメだ。他の人のことを考えていないし、行った人は地獄の顔をして帰ってくる。
結局人望がないのは変わらず、数年で役員からは降格していた。
結局のところ、色々手詰まりで本来なら維持できないはずの組織を無理して維持しているところがあるから、様々なところで無理が出ていて不満がたまり人が変わっていくのだろう。うちの会社を見る限りではそうだ。
朱に交われば赤くなるじゃないけど、澱んだ空気をもつ会社にみんな染まってしまう。
また新たな不満が渦巻いて会社が形成されている。不平不満を会社が燃料にしているみたいに思える。
確かに、妖怪だ。
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