それはまるで嵐のようだった
子供部屋おじさんの城、
つまり実家に姉の一家が帰省してきました
姉と会ったのはもう10年くらい前、
震災の後くらいだったような気がします
それ以来の遭遇です
子供元気すぎ
非常に憂鬱でした
なんせこちらは無職、
そして襲来する相手は10年ぶりの姉、
エリート会社員の旦那、2人の子供
仕事もしてない手前、
その日だけ家を開けるなど
回避することもできず、
激突することになってしまいました
どうやら夕方くらいに姉一家が到着
それが嵐の始まりでした
まあうるさい
3歳くらいの下の子だと思われますが
マジで走り回ってるし
声のボリュームも桁が違うしで、
老夫婦と無職おじさんで暮らしていた
一軒家がこんなに防音機能なかったんだ
と思い知らされました
いやほんとびっくりしたんですけど
子供って元気ですねぇ
ぼくの部屋の隣の部屋に泊まるようでしたが
隣に来るや否や多分ベッドで
跳ねているんでしょう、
めちゃうるさい、そして定期的に
「ドンっ」っていう大きな振動音
それまで同人作品制作をしていたんですが、
もう一切集中できなくなってしまいました
というか隣に子供がいる状況で
成人向けの絵を描く気になれませんでした
何か法を犯しているようで…
隣の部屋でうるさいのは困りますが
社会的にはぼくの方があり得ない立場なので
何も文句は言えず
普段通り暮らすことにしました
激突を避けれるかもしれない、一抹の希望
そう言えばぼくが部屋を出る時といえば
一日2回の食事の時だけです
それに食事も自室で食べます
初手で挨拶するタイミングを
失ってしまったので
「これは遭遇せずにやり過ごすことが
できるのではないか?」
と思い始めました
姉一家はうちに到着して隣の部屋で
場所を確保したのち、
どうやらリビングで
早めの夕食を取り始めました
子供たちの声はほぼ聞こえてくるので、
何が行われてるのか筒抜けでした
ぼくの両親からすれば
娘一家と孫たちとの夕食で
それはそれは幸せな時間だったでしょう
父さん母さんごめんよ、
ぼくは孫どころか嫁さんも
見せることはできなそうだ、
でも姉ちゃんナイス!
父母に孫と過ごす時間を与えてくれて!
などと無職の自分の情けなさやら
人間の幸せなどを考えたりして
狂いそうになっていました
そうしているうちに
急に声が聞こえなくなりました
どうやら皆で外に買い物か何かに
出かけたようです
時間を見るとちょうどぼくが
夕食をとる時間でした
その時ようやく自分の空腹に気づきました
チャンス
今のうちにリビングに降りて
夕食を調達して食べ終われば、
顔を合わせることなく
やり過ごせるのではないか?
別に姉が嫌いなわけでもないんですけど、
ぼくは人見知りですし、
特に子供は苦手です
できれば絡みたくないわけです
人見知りな上に無職子供部屋おじさん
っていうステイタスがエグすぎて
会えるわけありません
会う資格がないと言ったらいいか
子どもへの悪影響を考えると
上の子には一度会ったことがあるけど
まだ自我ゼロの状態で、
そのくらいならいいけど
ガッツリ意識のある子供と対峙するのは
ぼくには無理なんです
長身ロン毛髭おやじなんて
子供が絡む機会なんてないでしょう
無職に輪をかけてこの見た目なので
会うだけでトラウマを
与えてしまうんじゃないかと思って
心配してしまいます
というわけで挨拶をしない失礼を押してでも
子供らのトラウマ回避の方が
未来の社会にとって有益なので、
隠密行動をし、
姉一家が滞在する間は
自室で息を殺して過ごすことにしました
先に書いた通り
夕食のタイミングでの鉢合わせは
回避できたので、
あとは次の日の昼飯です
でもこれは昼を抜くということで
余裕で回避できます
ダイエットも兼ねるので一石二鳥
というわけで一番懸念されるのは
トイレでの鉢合わせです
まあ子供はどうせすぐ寝るので
夜中まで何も催さなければこちらの勝利です
というわけでエアコンの設定温度を
いつもより下げて
水分補給の頻度を最小限に減らしました
イベント外出時の女子は
こんな気持ちなのかな、などと想像しました
姉のカウンターパンチ
しかし出会いは突然にやってきました
コンコン
ぼくの部屋のドアがノックされ姉一家が登場
まあなんか一応ね的な感じで挨拶しました
以前会った自我ゼロの子が
まあまあデカくなっていることに驚きつつ、
それよりも10年ぶりくらいに会った姉が
おばさんになっていて驚きました
普通に老けているというよりは
少し顔つきが変わったように見えて
驚いたんですよね
まああんな元気な子供二人を相手するなんて
苦労があるだろうしな、
世間のちゃんとした人間たちの
子育てというミッションは本当に大変で
尊いものなのだなあと思いつつ
「いやおばさんになってね?」
って姉を笑おうと思ったら
カウンターパンチで
「あんたおじさんになったね」
って言われました
それは知ってるから
ショックでもなかったんだけど、
先に言われて少し悔しく、
それでいてファーストインプレッションは
お互い一緒なんだな、などと思いました
姉はコミュ力が高いので
何かしら話しているうちに
ちらっと目に入る2人の子供は
めちゃくちゃ可愛かったですが、
ぼくの汚い部屋と汚い外見に
だいぶ引いているように見えました
特に、下の子は真顔でした
子供ってこの真顔があるから怖いんですよね
旦那様とも一言挨拶を交わすことができ、
なんとか顔合わせは終了
挨拶をしない無礼を回避できた安心と、
でも向こうからわざわざ
来させてしまった情けなさと、
やはりトラウマを
与えてしまったのではないかという心配で
1時間くらい茫然自失な感じで
子供部屋にたたずむ無職
ただ、ミッションは続いています
リビングと部屋を頻繁に
行き来しているようなので、
遭遇するのはお互い認知したとはいえ
気まずさしかありません
というわけで水分補給しすぎないことは
継続しました
子供のオンオフはすごいね
夜になるとさっきまでの嵐が
嘘のように静寂が訪れました
静寂すぎて自室でぼくは
少しの音も立てないように
過ごすことに専念しました
この日は風呂も入らなくてもいいな
と思ったけど思いのほか彼らは早く寝たので
鉢合わせの可能性ゼロの状態で
風呂に入ることもできましたが
なんせ静寂なのでドライヤーもせず
電動歯ブラシを手動で使い
抜き足差し足忍足で暮らしました
そしてここ最近ズルズルと遅くなった
眠気を待ち朝の5時ぐらいには眠りました
が、すぐに7時に目を覚ましました
なんせ隣の部屋がうるさい
マジで子供元気
オンオフどうなってんねん
すごい
コロナ禍でもこんな元気で一安心
どうやら子供らしくちゃんと
育っているようです
眠れなくなってしまったし
そりゃまあうるさくない方がいいけど
不思議とイライラすることもなく
なんだかうるさくて安心したというか
言語化不能な感情だったような気がします
無職子供部屋という恥ずかしい人生に向き合い絶望
と、こんな感じで
無職生活始まって以来の
難易度MAXな一日が過ぎていきました
そもそも人見知りな上に、
無職生活で人と全然会わなくなり
低いコミュ値がさらに下がった状態で
姉一家の襲来だったので
非常に厳しい戦いでした
なんかね、1対1、お互い初対面、
とかなら大丈夫なんですけど、
10年前にあった振りの家族と
子供たちだと、
全く攻略するアイディアが
浮かばなかったです
やはり社会性を養ってこなかったツケが
回ってきており、
それが年を重ねるごとに
みっともないなと自分で思うことになり、
自分を痛めつけることになりますね
無職生活は幸せすぎて
これでいいと思っていたけど、
無職でもネットの稼ぎを増やして
自立して家を出た方がいいなと
少しだけ思いました
非常に恥ずかしい人生ですが
自分への戒めとして日記にしました
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